つくしの誕生日の夜。
いつものメンバーでつくしの誕生会が開催された。
場所はつくしと司の住むマンション。
昨晩の疲れで寝ていたつくしの部屋に18時、桜子が訪れ次々にメンバーが集まった。
司は午後からのスタートだったため、まだ帰宅していなかった。
遅くなることをわかっていたメンバーは乾杯を始めた。
滋のつくしラブメッセージ&プレゼントを渡したのをきっかけにみんながつくしにプレゼントを渡した。
つくしの好みを考えて渡されるプレゼントは高価な物ではなく、実用性のあるもの。
F3に至っては誰が渡したプレゼントを先につくしは使うか競っていたほど。
乾杯から1時間が過ぎ、つくしはプロポーズの報告をしようかと思っていたが、心の一部である類が一言。
「牧野、司なんてプロポーズしたの?」
「えっなななななんで知ってんの?」
慌てだすつくし。
類は笑った。
「なんでもお見通し。」
「そうだぞ。昨日俺たち邪魔しなかっただろ?」
総二郎が言う。
「司が今回の買収がうまくいけば結婚できるって言ってたからよ。
あいつも行動に移すのかと思って遠慮した。
あいつは卒業まで待つやつでもねーかと思ってよ。」
あきらが話す。
「ほんとだよ。日付が変わるのと同時につくしにおめでとうって言いたかったのに。」
滋が話す。
「先輩。教えてください。」
「えっあ・・・うん。されたよ。プロポーズ。なんて言われたかは言いたくない。
これはごめん。言えない。
つ・・道明寺が卒業式の日にプロポーズしようと考えていたみたいだけど、社長が道明寺家に代々伝わる指輪をつ・・道明寺によこしたから、今日の日付変わる時に、プロポーズされた。あとはなにも決まってないよ。」
笑いを堪えていたF3。
話し終えたつくしの顔を見て笑った。
「牧野、司って名前で呼ぶようになったんだろ?」
総二郎が言う。
「えっあ・・・・うん。」
真っ赤になるつくし。
「じゃあ、俺たちの前でも司って呼べよ。」
「・・・なんか、その・・・恥ずかしくて・・・」
モジモジ動く。
「呼び始めんのがおせーよ。」
笑いながら話すあきら。
「名前で呼ばれはじめたのも俺が先だね。」
微笑む類。
あきらは笑いながら、「司帰ってきてねーよな?」周りを見渡す。
そんな中、泣く女子3名と男子1名。
「つくし、良かったね。」
滋
「滋さん、ありがとう。」
「つくし、本当におめでとう。」
優紀
「優紀、ありがとう、」
「先輩、誰よりも遅かった初体験なのに早くお嫁に行くんですね。」
桜子
「桜子、一言余計だし。」
「僕のつくしちゃんが、とうとうアイツの物になるんだぁ」
和也
「和也君、私は物じゃないから。」
「おいおい泣くなよ。和也おめーは男だろ。」
「「「だってぇー」」」
女三人はそれぞれ手を握り合った。
「みんなありがとう。」
つくしは眼元を潤ませ、頭を下げた。
「「「「「「「おめでとう」」」」」」」
声を揃えて祝福した。
つくしはお酒で酔い、寝不足でソファーの上で寝ていた。
優紀が、ブランケットを探し出し、つくしにかけた。
つくしの寝顔を見ながらあきらが話し出す。
「おれさ、司が渡米して多分こいつらダメになるんじゃねーかって思っていたんだよな。」
「1年会わねーとか、考えられねーよな。」
総二郎が話す。
「先輩は健気に待っていましたから。」
「つくしちゃんいつも空見て居たよね。」
F4が高等部を卒業してからも、同じ高等部に居た桜子と和也が当時のことを思い出し話す。
「私、つくしに淋しくないの?って聞いたことがあって、そしたらつくしはこう言ったんですよ。
「あたしには土星のネックレスもあるし、みんなもそばに居てくれるから。
会いたいし、淋しいけどあたしたちには必要な時間だと思う。
帰国するって保証はないけど、自惚れじゃないけどあいつはあたしと約束したから。
絶対守るって信じてる。だから4年で帰国するよ。あいつに不可能な事ないと思うから。」って。
そのつくしがかっこよくて、私がつくしに惚れちゃいそうでした。」
優紀がつくしを見て言った。
「私たちも同じように流れていた4年という時間は、司とつくしにとって私たちより長く感じただろうね。
そして本当に4年で帰って来る司もすごいけど、司の会社に実力で、しかも大学生で入っちゃうつくしはこの中の誰よりもすごいよね。」
滋がつくしを見て話した。
「俺のお袋も初めは一般家庭の牧野に俺が茶道を教えることに良い顔はしてなかったみたいだけど、覚えてから牧野は作法が綺麗なんだよ。
茶会で外国の人が来たりすると誰よりも早くいろんなことに気づいて動く。
弟子が出来悪いわけじゃねーけど、牧野は別だったよ。
親父やお袋は牧野が俺の一番弟子で良かったって言ってた。」
総二郎の一番弟子であるつくし。
総二郎の家に行くたび、家元と家元夫人にも認められていた。
また、総二郎の弟もつくしと仲良くなっていた。
「こいつは敵も多かったけど、味方も多いよな。」
あきらが話す。
あきらの家に行くたびに双子とお母さんが牧野を取り合いしていた。
飲みながら話すずっとつくしを見守って来た仲間たち。
類は牧野の頭を撫でた。
「牧野が幸せなら、それでいいんだよ。」
類がつくしにしか見せない顔で微笑む。
類の言葉にみんなが複雑な思いで聞いていた。
このメンバーは類の気持ちを知っていた。
つくしの一番近くで誰よりも暖かく見守っていたのは類だった。
類の天使の微笑みは、時々、司で遊ぶ時に微笑むがつくしの前でしか本来でない。
その笑顔は類の愛情が伝わるものだった。
人生とは不思議な物だ。
類に恋をしたつくし。
類はその当時藤堂静に憧れていた。
最悪の出会いの司がつくしに惚れた。
上手くはいかない恋。
少しずつつくしの気持ちが司に動いたとき、類の中で産まれた感情。
類と付き合えば絶対に幸せになるんじゃないかと誰もが思ったが、つくしの選んだ相手は司。
交わることのない運命の糸が、階段から転げ落ちた一人の少女によって交わった。
この少女のお蔭で日本の経済が救われたのかもしれない。
司が本来、感謝する相手はその少女なのかもしれない。
***
主役が寝る中、宴会は行われた。
司が帰宅すると、酔っぱらいが二人。
桜子と滋。
おかえり。と おめでとう が交差する。
寝ているつくしの隣に座る司。
つくしは無意識に司の上着の裾を握った。
ニヤつく総二郎。
「へー、俺らの知らねーことけっこうあんじゃん。」
「うっせー。牧野の寝顔見んな。」
「じゃあ、寝室連れてけ。」
「そうしてぇけど、明日の朝なったらなんで起こさなかったのって怒るんだよ。」
つくしの頭を撫でた司。
「つかさーつくしをしあわせにしなかったら、しげるちゃんはゆるさないぞ」
「そーですよ。どうみょうじさんせんぱいはかわいいんですからね。
もうむねはちいさいのにおしりはぷりぷりではだはすべすべで・・・」
絡む二人。
足がおぼつかなく、座り込む二人。
そのまま二人して寝た。
あきらが二人に上着をかけた。
和也は優紀に別な部屋で介抱されていた。
「おい、なんであんなに飲ませてんだよ。」
「お前らに進展があってうれしかったんだろ?今日は許せよ。」
「聞いたのか?」
「「聞いたぞー」」
ニヤニヤしながら、司の肩に手を当てる二人。
司は振り払った。
「そういう事だ。まぁ、まだ内緒だ。」
「内緒って?」
目をつぶっていた類が目を開け、司を見た。
「牧野が1月4日から俺の秘書の補佐で西田の下につく。俺の仕事の理解の為。
社員でもない牧野が下につくのは可笑しいから表向きは秘書検定の実践。
買収によって少なからず、恨みも買う。
牧野の身の安全を考えのこともあるが、うちの会社社員の評価が2月初めに出るんだよ。
牧野も社員じゃねーけど評価対象で重役が認めれば、結婚もすんなりいくだろうから牧野の評価が俺の婚約者で評価されることが無いようにだとよ。
それとリトルメープルの隣の式場の建設で教会の内装が大まかにしか決まってないらしくてよ。
親父が「結婚するなら俺たちがあげたいと思う教会にしろ。」ってさ。
牧野は4日まで会社にはこねーから、その間に資料見て決まったら建築デザイナーと打ち合わせして4日に提出しろってさ。
直接見に世界中を飛び回ってもいいらしい。秘書なら一緒にいっても問題はねーだろ?」
「へー婚前旅行できるな。」
総二郎が話す。
「公私混同したら牧野は司の秘書じゃなくなるよね?」
類はそううまくいかないでしょ?って顔で話す。
「あぁ、西田が監視役だ。」
「くくく、ご愁傷様。」
「うっせーよ。しかも秘書の期間は牧野が大学の卒業試験があるから3週間だぞ。」
「短いね。」
「表向きは秘書検定の実践だろ?そんなもんだろ?
しかも普通は試験に実践なんてねーよ。」
あきらが真面目に話す。
いつの間にかつくしの頭を自分の膝の上にのせていた。
「牧野、このままいけば大学は主席?」
「らしいな。」
「司が払った大学の4年間の授業料全部返って来るね。」
「あぁ。」
「類が去年代表のあいさつしたもんな。」
「うん。なんか名誉までもらった。司の父ちゃん以来の快挙だって。」
「それな、牧野も成りそうなんだよ。」
「2年連続ってすげーな。」
「牧野は中学からの一般入試でしかも入試トップだからな。」
「赤札貼った時そんなの知らなかったよな。」
「俺さ、聞いたんだけど、牧野2年の時成績落としただけであとはずっとトップだったんだって。
それってさ、司のせいだよね?」
「他に考えられねーだろ。」
「・・・俺は赤札貼ったことに後悔はしてねーぞ。俺を恨んでるやつがいようが、関係ねーよ。」
「俺たちを恨んでるやつは大勢いるだろうな。特に司。
だけど、それで牧野が危ない目に合わないように気をつけないとな。」
「・・・・それもあって、まだ婚約は内緒なんだ。
西田が過去に金で解決した俺の暴力事件を再度調査して未だに恨みを持った人物がいないか確認している。
牧野になんかあったら俺が使い物になんねーってのもあんだろうけどよ。」
司は総二郎を睨んだ。
「そう睨むな。俺はもう遊んじゃ居ねーよ。」
「当たり前だ。」
「司はなんでまだ牧野って呼んでるの?」
「なっ///るるいなんで知ってんだよ。」
司が顔を真っ赤にして聞く。
「さっき、牧野がつ・・道明寺って何回か言ってたから。」
笑いながら答える類。
「・・・そーだよ。名前で呼ぶようにした。だが、まだ意識しねーと慣れねー。」
「自然に呼べるようになればいいね。」
類は笑った。
「・・・おう。」
司は寝不足と、安堵感でそんなに飲んでいないのに酔いが回った。
ニヤつくあきらと総二郎。
「司、牧野になんて言ってプロ―ポーズしたんだ?」
「あー幸せにしろって言った。」
「「はぁ?」」
眠たそうな司、口調は穏やかになっていた。
「俺がお前を幸せにしてやる。
俺はお前とじゃなきゃ幸せになれねー。だから俺と結婚してくれ。」だったかな?
「俺はお前を幸せにする。お前は俺を幸せにしてくれ。そしたら対等だろ?」
っても言った気がする。あいつは俺と対等で居たいって言うからよ。
あいつを守ってやりたいと思ってても、守ってもらうだけじゃ、嫌なんだとよ。
可愛くねーけど、俺にとっては可愛い女なんだよ。」
睡魔には勝てなかった司は、そのまま寝た。
「ご馳走さん。」
総二郎が言った。
「なんつー寝顔だよ。」
あきらが司の寝顔を見て言った。
つくしの寝顔は膝の上で司がつくしの顔の向きを自分に向かせていたため3人には見えない。
「幸せそうじゃん。おれこんな司の寝顔初めて見たよ。」
類が話す。
「そーだな。こいつの寝顔もそうそう見ねーけどな。」
「司は、寝たら寝室に絶対に朝起こす執事以外は入れねーからな。」
「最後に見たのは牧野の病室?」
「だな・・・。司は牧野なしじゃ生きてはいけねーだろ。」
「あの時、牧野が記憶をなくさないでくれて本当に良かったよ。」
「そうだね。総二郎はあれから変わったね。」
「変わらざるを得ないだろ?俺には今こいつらより大事なもんはねーから。」
「くくく、そのうち現れるよ、総二郎にも。もう現れているかもしれないけど。」
類は、廊下の向こうで和也を介抱している優紀を思い浮かべて話した。
「寝顔もだけど、司俺たちの前でも着替えなくなったな。」
あきらが話す
「傷でしょ?」
類は穏やかに言う。
「多分な。」
「司にとってあれは人生最大の汚点だよ。牧野だけを忘れてんだから。」
類は厳しい顔をして言った。
「そうだな。」
「こいつ嫉妬で頭に血が上ったら周り見えなくなるから、牧野との大事な約束とか忘れて嫉妬した男に圧力掛けそうだな。」
総二郎が話す。
総二郎は一度NYに行ったとき類に嫉妬する司の餌食となった。
しかし、珍しく熱く語った総二郎。
司の頭に残ったフレーズ。
<一番守りたいのは牧野だろ?何をやるべきか考えろ。>
「司が牧野との約束は忘れねーだろ?」
あきらが言う。
「どうかな。嫉妬で牧野の気持ち見失うこともあるんじゃない?
牧野すごくモテるよ。」
「だな。牧野はそこらへんのご令嬢より価値があるよ。」
総二郎が話す。
「しかし、秘書と副社長ってエロいな。」
あきらが言う。
「仮眠室で司が牧野を襲うに5万。」
総二郎が話す。
「じゃあ、俺は副社長室で襲うに5万。」
あきらがのっかった。
「・・・俺はもうヤッたに5万。」
類が言った
さてさてかけの真相は・・・・・
類君の勝ち。
神崎の買収の準備の中、鉄拳が飛んだ一回目。
丸め込んだ二回目。
果たしてつくしの秘書生活はどうなるのか。
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