新しいカテゴリーが本日開きます。
オリキャラ秘書倉田。
倉田は37巻に出てくる男性秘書です。
そして、「俺の話をしようか」で必死に時間をアピールする秘書です。
勝手に倉田と名づけました。
本当は関ジャニ∞の大倉クンの名前を拝借しようと考えていましたが、西田の秘蔵っ子なので田の繋がりで倉田。
名前のセンスなくてすみません。
私が好きなオリキャラの一人です。皆さんも好きになってくれたら嬉しいです。
話の中に女性秘書が出てきますが、37巻で司にジャケットを着せる秘書ですよ。
原作の未来妄想ですから。
では、不定期連載の帰国をお楽しみください。コメント拍手ありがとうございます。昨日ご返信しました。
明日R-18です。下記画像クリックで応援よろしくお願いします。
司は自室の専務室に戻り、自分の椅子に勢いよく座った。
「やっと終わった。」
思わず漏れた声。
4年前、渡米して以来日本に帰ったのは2回だけ。
一回目は牧野の高等部の卒業式。
二回目は牧野が階段から転げ落ちた時。
それ以外で日本の地に立つことはなかった。
明日の朝、やっと牧野の元に戻れる。
司はデスクの引き出しを開けた。
渡米して10日、桜子から届いたアルバム。
仕事で納得できなかったとき、悔しい思いをしたとき、親に叱責されたとき必ず開いたページがある。
それは宣戦布告してきたつくしの写真のページ。
「天下の道明寺司に出来ないことなんてないでしょ。」
牧野がそう言っているような気がした。
大事な契約の前には、DVDを見た。
口は悪いが応援してくれる仲間がいる。
牧野のそばに居ることが出来ない俺の為に、定期的にあいつらが俺に牧野の写メをこっそり送って来た。
それはUSBに保存していた。
いろんな牧野が居て、牧野が恋しい時自然とUSBをパソコンに差し込んだ。
年に一回総二郎が桜子からアルバムを届けにNYへ来た。
国際イベントの茶会のついでに寄る総二郎。
総二郎が来るときは楽しみだった。
先月もアルバムを持って来た総二郎。
気づけば牧野のアルバムは4冊になっていた。
最後のページには桜子からのメッセージ。
4年目のアルバムは日本に帰って来た時に渡します。
きっと道明寺さんが帰って来た時、先輩の笑顔は私たちが撮りためて来た写真のどんな笑顔より、輝いている気がします。約束の時を楽しみにしています。
桜子
三条は牧野が好きなんだろうな。
口を開けば小悪魔的な事しか言わねー奴だけど、牧野を慕っている。
アルバムを見て居るとノックが鳴り倉田の声が聞こえた。
秘書に渡された紙袋にアルバムを入れた。
「入れ。」
「失礼します。」
「おう、倉田も明日から3週間休みなんだろ?」
「はい、4年分の休みをもらいました。」
「嫌味か?」
「そう思われても構いません。」
「・・・お前には感謝している。俺が日本に帰れるのはお前のおかげだ。
お前が俺の秘書で本当に良かった。」
「勿体ないお言葉ありがとうございます。
私も司様の秘書を4年させていただき、実績以上に充実した日々でした。
今だから言えますが、私より10歳も年下で、司様のお噂は聞いておりました。
正直貧乏くじを引いたと思っていました。ですが、司様が私に宣言した言葉。
それを言った司様の目は輝いていました。
その目を信じて今日までやって来れました。
司様の日本での活躍をNYより応援させていただきます。」
「貧乏くじ?俺は貧乏じゃねーぞ?」
「・・・日本に帰られるので少しは日本語の予習もされた方がよろしいかと思います。」
「必要ねーよ。お前は社長の第2秘書になるのか?」
「はい。西田課長が司様の秘書になり、三納が第一秘書、私が第二秘書です。」
「社長の秘書は大変だぞ?人間じゃねー。」
「そうでしょうか?私はそうは思いません。
遠く離れた日本で世界を飛び回る社長を第三の目線で見てみてください。
きっと、日本に居る司様にプラスになることもあるかと思います。」
「お前が言うんだから、そうなんだろうな。まー大変だろうが、頑張れ。」
「ありがとうございます。これで人並みの生活が送れます。」
「あ?今まで人間の生活してねーみてーじゃねーか。」
「えぇ少なくともこの3年はしていません。
ですが、楓社長の秘書は4人いますから、私もお休みがいただけるのです。」
「俺にだって第二秘書の奴いたろ?」
「名前も憶えていないんですか?」
「ささかま?」
「佐々木です。佐々木は確かに司様の第二秘書ですが名前だけです。
牧野様以外の女性を近づけない司様は佐々木との接触をしないではないですか。
コーヒーもいつの間にか自分で入れるようにこの部屋に自動のコーヒーメーカーを入れ、佐々木が司様に関わるのは、パーティーの衣装の時だけ。
それ以外は私の仕事でした。佐々木は裏方の仕事しかしていませんので私は第二秘書の分も働いていたのです。」
「・・・悪かったな。」
「いえ、司様は牧野様一筋なのはわかっております、ですがいつか女性秘書が必要になる時が来ると思います。
私には女性目線で物事を見ることは出来ない部分がありました。
その時は三納さんに聞いていました。いつか女性秘書をつけるようにしてください。
西田課長も少しは楽になると思います。」
「・・・おう。日本で牧野が就職したら牧野に秘書になってもらう。」
「・・・公私混同はしないように。」
「おう、倉田。お前はあん時宣言した彼女に会いに行くのか?」
「はい、今夜彼女の家に行って花束と指輪を持って迎えに行こうと思います。
司様の頑張りで私も約束が守れそうなので。」
「いい返事もらえるといいな。」
「正直、答えを聞くまで自信がありません。ただ、精一杯自分の気持ちを伝えるつもりです。」
「健闘を祈る。結婚式決まったら呼べよ。」
「豪華な式ではないですよ?」
「関係ねーよ。俺はお前の約束の結末を見たいだけだ。」
「わかりました。では、その時は牧野様とご一緒にご招待させていただきます。」
「おう。頼むわ。」
「司様は明日の朝に日本に帰るのですか?」
「おう、自家用ジェットでな。牧野は邸で出迎えてくれる。」
「司様、記者会見で言ったこと覚えていますか?」
「あ?4年後必ず迎えに行きます。だろ?」
「迎えに行きますって言って出迎えてもらってどうするんですか?」
「・・・」
倉田が一通の封筒を俺に差し出した。
「日本行のチケットです。今夜の便を手配しておきました。
宣言通り牧野様を迎えに行ってください。
結婚は先の話でも、宣言したのが迎えに行きます。なんですから、約束守らないと。」
倉田は笑っていた。
それにつられて俺も笑う。
倉田、お前は秘書だけどやっぱり俺の兄貴みてーな奴だな。
立ち上がりジャケットを羽織る。
アルバムを入れた紙袋を持つ。
歩きだし、倉田の右肩に手を置く。
「倉田、ありがとな。」
そう言って俺はNYの戦場から牧野の待つ日本へ向かった。
「司様の為ですから。」
有能な秘書の声が、扉を閉じる瞬間に聞こえた。
倉田は微笑んだ。
何度も上司である司様からお礼の言葉を聞いたことがあるが、どれも「サンキュー」の言葉。
4年で初めて「ありがとな。」と聞いたのだ。
「健闘を祈ります。」
倉田は司が出て行った扉に向って頭を下げた。
倉田の名刺が新しく変わった。
㈱道明寺ホールディングスNY本社
道明寺 楓 社長第二秘書
倉 田 守
上司の約束を守られせる男。
そして彼自身も約束を守る男。
名前負けをしない男だ。
楓の秘書になり倉田の荷物は少し軽くなった。
それは電子辞書を持ち歩くことが無くなったからだ。
日本語が弱い司に倉田は、取引先が言った難しい言葉をかみ砕いて教えたのだ。
ビジネスの場で司の日本語が弱いことがばれなかった理由。
それは一人の秘書の並々ならぬ努力があったから。
世界の道明寺は秘書の頑張りで守られている。
18年後、倉田は再び司の秘書になる。
その時、司は最愛の妻と子供を引き連れ再びNYに渡米する。
「司様の為ですから。」
その時、司は有能な秘書の言葉に微笑んだ。
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