春の頼りの桜前線が北上しはじめる三月
英徳学園の桜の木も薄い桃色の蕾が顔を出し始めた
「つくしっ」
振り向くつくし
立っていたのは一人の男。
身長180センチ、高校時代にサッカーで鍛えた整った体、短髪、小麦色の肌
住む世界が違うあきら、類、総二郎とは違い親しみやすいモテ男子の一人
さわやか美少年と大学で呼ばれている同じ学年で同じ学部の北原 真だった
北原 真は大学部から英徳学園に入って来た生徒
大学部一般入試で第一位の成績で入学
特待生として学費は全額免除されている
特待生の条件は大学4年の間に学年で5位以上が条件だ
北原はつくしと同じ経済学部 同じクラスで同じ講義を受けている生徒の一人
「これ、前回受けれなかったときのノート。篠原もこの講義は受けてないから俺ので良かったら。」
「ありがとう。助かる。」
篠原とは北原の女友達で同じ学部の篠原裕子のこと。
篠原も大学から英徳の生徒だ
人見知りをする性格の篠原、つくしはいつも講義の時は一番前に座る
篠原も同じだった
篠原と同じ講義つくしの隣りに座った篠原は小さい声で「消しゴム忘れた」と声に出して行ってしまった
つくしは隣を振り向き、消しゴムを差し出した。
「二個持ってるから。」
にっこりと微笑むつくし。
「・・・ありがとう。」「どういたしまして。」
ここから二人の会話が始まった。
以来、欠席の際は篠原にノートをお願いしていた。
道明寺で働くつくし、学業優先だが査察の際の急な悪天候で飛行機が飛ばない場合などは友人である篠原や篠原が受けない講義の時は北原にノートをとったのを見せてもらっていた。
「別な時間に特別講義あんの?」
「うんっ。来週にある。でも、助かる。ノートうつす時間短縮できれば講義に集中できるし。」
一部の教授は真面目なつくしの為に特別講義を開いてくれることもあった。
もちろん、単位もとれる
「そんなに頭良くなってどうすんのさ?就職道明寺ホールディングスって決まってるのに。」
クスッっと笑う北原
「頭良くないから。それに必要な単位はとらないと仕事させてもらえないから。毎日必死。」
「またまた、謙遜。バイトなのに忙しんだな。」
「色々とねっ。」
「ふーん、詳しくは聞かねぇけど、まぁ頑張って。俺もこれからバイトだし。
学年2位は寝る間も惜しんでバイトと勉強です。」
北原は首を左右に動かしコキコキと鳴らす。
「嫌味?」
「まぁね。つくしが居る限り学年トップはなれないから。」
「わからないじゃんっ」
「無理だっ。おまえこそ嫌味かよ?つーか、昨日牧野がつくしの話ばっかりしてたぞっ。たまには家に帰れ」
「クスッ私も牧野なんだけど。」
「俺が牧野って呼ぶのは、牧野進だよ」
「そうだったね。」
「じゃあな。俺睨み殺されそうだから行くわ。」
「?またねっ。」
つくしは手を振り、北原を見送った。
「牧野っ」
その声に振り向く。
こちらにゆっくりと向かってくる類がいた
「類っ珍しいね。」
「牧野に会いたかったから」
「えっ?」
その言葉に、驚きながら顔を赤く染めるつくし
「クスッ牧野顔赤いよ?」
「誰のせいよっ。って言うか、私で遊ばないでっ。」
「牧野が面白いから、こればっかりはやめられない。」
「もうっ」
バシッ
「痛いってば。俺牧野ほど脂肪ないから骨に響くんだから」
「悪かったね。」
キッと睨むつくし
類はそれにさえ笑った
「もうっ」
「ごめんごめん、遊び過ぎた。今のが兄?」
「えっあっそっか。類はまだあってないんだよね。
そう、春菜ちゃんのお兄ちゃんの北原 真くん。」
春菜とはつくしの弟、牧野進の彼女であり、北原真は春菜の兄だった。
「ふーん、牧野をつくしって呼ぶ北原ね。」
「類っ」
「司が知ったら暴れそう。」
「・・・進を牧野って先に呼び始めたからね。初めて会ったときは進も私もどっちも返事しちゃって。」
「優秀らしいね。親が公務員なのに自分は公務員ではなく一般企業で働きたいって言って英徳を受けたらしいじゃん。」
「類、北原君のこと知ってるの?」
「進から聞いた。」
「そう、類はうちの家に今でも遊びに行ってるもんね。」
「牧野より、家の中に何があるか詳しいかも。
牧野の小さい頃のアルバムも見たし。」
「なっ////なんで見てんの?って言うか、うちの親って何なの?みせんなっつーの!!
類も私に許可なくみないでよっ」
「いいじゃん、減るもんじゃないし。」
「そっそれはそうだけどさ。私にもプライバシーってもんがあんのっ。」
「牧野にプライバシーはないと思うよ。」
はぁーとため息を吐いた
「そうなの、なんでかあいつ色々知ってんだよね。誰が離してんの?っていうか、SPでもついてる?」
つくしはキョロキョロとあたりを見渡したがいなかった。
事情を知っている類は可笑しかった。
さっきの北原はどう司に報告が言っているのだろう。
司が俺に電話をよこさないと言うことは、SPがただの同級生だと報告しているのだろう。
「クスッ・・・ ところで牧野、来週の卒業式の日仕事休み?」
「えっあ うん。休みにしてもらったよ。桜子たちとみんなの卒業祝いを開くから。
日中はその準備で忙しいかと思って。」
「そう、じゃあよかった。牧野、俺の卒業式、俺が卒業生代表だから見にきて。」
「えっあれって卒業式って身内でしかも当日は座席カード持った人しか入れないよね?」
「うん、だからこれ。」
類は、つくしにカードを差し出した。
「なんで類のご両親は?」
「来るよ。俺の親父は祝辞のべるから来賓の席。牧野の隣に座るのは母親。」
「お母さんの隣りに座っていいの?」
「うん、牧野の隣で嬉しいって言ってたし。牧野には必ずきて欲しいから。」
「・・・わかった。出席させていただきます。類のお母さん全然あってないから。久しぶりだな。」
つくしは類からカードを受け取った。
「牧野が道明寺で働き始めたからね。たまにはお茶でも一緒にしてやって。」
「うん、私で良かったらいつでも。アップルパイやチーズタルトの作り方もまだ教えてもらってないし。」
「レシピ準備してたよ。」
「ホント?嬉しい。」
「じゃあ、俺門の前で秘書待たせてるから行くね。」
「えっそうなの?ごめん。長話して。」
「いいよ。牧野が相変わらずで安心した。じゃあ、式で会おう。」
「うん。」
類は微笑み英徳を後にした。
「みんな卒業するんだなぁ。なんか実感がない。」
つくしは時計を見た後、時間があったので高等部の非常階段に向かった。
下記画像クリックで応援よろしくお願いします。

にほんブログ村
- 関連記事
-
スポンサーサイト