改善報告、及び契約の日。
HSPカンパニーの社長、副社長、企画課課長、進は道明寺ホールディングスの小会議室で司、つくしを待っていた。
「「おまたせしました。」」
司、つくしがはってきた。
4人は立ち上がり、挨拶した。
HSPカンパニーの社長が
「道明寺様、今回は当社の開発ソフトを選んでいただきありがとうございました。
改善点を見直し、ご依頼のソフトに仕上がっています。今からお見せします。笹山君、牧野君頼む。」
「「はい。」」
「前回のソフトに加え----------------------------このようになっております。」
「コストの面ではなぜ予定額の2％オーバーですか？」
つくしが質問した。
「はい。カメラ搭載機能に余分に使いました。
リサイクル品のネット販売の盲点とあぶり出し、店舗販売に劣らないようにしております。」
「わかりました。」
進は、席へ戻った。
「HSPカンパニーさん、１０年間締約したいと思います。
今回はこちらの要望を聞いてくださり、ありがとうございました。」
つくしは社長に向かって言った。
「期待以上で、感心した。これからもよろしく頼む。」
司は進に向かって言った。
「「「「ありがとうございます。」」」」
6人は立ち上がり握手をした。
司が進と右手で握手を交わし、左手で進の肩に手をおいた。
「頑張ったな。」
「はいっ。」
つくしも進と握手した。
「見直した。進。」
つくしは涙声になりながら、進に言った。
「お前が泣くな。」
司はつくしの頭を撫でた。
「姉ちゃん・・・・」
「「「えっ」」」HSPカンパニーの社長、副社長、課長が驚いた表情をした。
「まままきのくん？」
課長は進を見た。
「「弟が、お世話になっております。」」
司、つくしは頭を下げた。
「「「えぇーーーーーーー！！！ままきのくんっ」」」
驚く3人。
苦笑する司とつくし。
しかし、進は自分の為に姉夫婦が頭を下げてくれることに胸が詰まる思いでいっぱいだった。
つくしは昔から低姿勢であったが、義理兄は普段頭を下げられることはあっても、下げることはない立場の人間だ。
そんな義理兄が自分の為にここまでしてくれるのだ。
「お兄さん。姉ちゃん。ありがとう。」
進は涙声になりながらお礼を言った。
「ったく、お前ら兄弟は・・・・」
司は苦笑していた。
「・・・すみません。進は私の実の弟です。
今回、進が自分の実力でここまで来るとは思いませんでした。
兄弟の感情で契約したわけではありません。
開発ソフトの素晴らしさで契約しました。
感極まり、このような場をお見せしてすみません。
私情をはさむつもりはありません。
これからもビジネスパートナーとしてよろしくお願いいたします。」
「存じ上げず、大変失礼しました。」
社長が頭を下げ、副社長、課長が続いて頭を下げた。
「勉強をして、ここまでの開発が出来ることが凄いことだと思います。
社員一同もいい刺激になり、より良い開発につながると思います。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。」
社長は頭を下げ、つくしと握手をした。
＊＊＊
契約書面などの記入が終わり、帰り際、進がつくしにお守りを返した。
「姉ちゃん。これご利益あった。ありがとう。」
「良かった。これからは更に容赦しないからね。頼むよ。」
「おう。俺、姉ちゃんとお兄さんの兄弟で良かった。本当に誇りに思うよ。」
進は駆け足で待っていたエレベーターに乗った。
「私もあんたを誇りに思うよ。」
つくしはエレベーターを見つめていた。
＊＊＊
翼が寝たので、つくしと司は二人のベッドへと戻った。
つくしは隣にいる司の腕の中で、司の顔を見つめた。
「司、今日はありがとう。」
「ん？あぁ。進は俺にとっても大事な弟だろ。いくらだって頭下げてやるさ。」
司はつくしの頭を撫でながら優しい顔をした。
「うん。嬉しい。・・・今日、改めて惚れ直したよ。」
「おまっ/////そんなこと言ってわかってんの？」
つくしはにっこり笑い、返事の代わりに珍しく自分から司にキスをした。
「ご希望通り叶えてやる。」
双子を妊娠したのはそれからすぐの事。
4月から仕事復帰したつくしが三か月後再び、ご懐妊。
つくしの負担を考え司はこの事業の担当をつくしから外した。
再び、担当するのは匡が産まれてからだった。
つくしが進に貸したお守りは、20歳の司の誕生日にプレゼントした万年筆の片方。
Ｔと左の翼が描かれた万年筆。
つくしの後ろを金魚のフンのようについて回っていた進が、自分の実力で翼を得て、姉のもとから羽ばたいた。
進が結婚するのはそれからすぐの事。
付き合っていた春菜と結婚した進。
匡が産まれた年に進も父親になった。
二人の間に産まれた女の子。
樹（いつき）と名付けられた女の子は、牧野家の顔。
つくしそっくりの女の子だった。
つくしが嫁いで少し淋しさがあった牧野家が再び光を取り戻した。
ちび牧野とF4に名付けられる樹は、つくしのように正義感が強い女の子に成長する。
FIN
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