会議室に入ると上司が俺を見て手招きしていた。
「牧野君、急いで座って。道明寺副社長たちがお越しになるから。」
「はい。」
会議室の前の入り口から、司、つくしが入ってきた。
ひえー。
お兄さんのオーラ半端ねー。
すげー威圧感。
日本経済を引っ張っているだけのことはある人だ。
知っているお兄さんじゃない。
姉ちゃんも、さっきまでの顔じゃない。
すげーな。
驚きながら、進は立ち上がり、頭を下げた。
会議が始まり、進の緊張もピークに達しようとしていた。
進はポケットに閉まったつくしの万年筆だし、右手で握りしめた。
「では、次にHSPカンパニーさんお願いします。」
「はい。」
横井は大画面のモニターの前に立ち、課長はパソコンで画面操作をしていた。
横井は緊張することなく、プレゼンを終え、質問がないか聞いた。
司はマイクを持ち横井に質問した。
「このソフトだと、自社商品の購買意欲がわくが、リサイクル事業の販売は衣類自体の情報量が少なく、購入者が質問しなければならない点が多い。
人権コストが予算以上にかかる。ネット販売の盲点がいくつもある、改善策はどう考える?」
「はい。おっしゃる通りです。改善策は------------------です。」
「わかった。」
つくしもまた、横井のプレゼンに質問していた。
横井がプレゼンを終え、進の番になった。
「HSPカンパニーの牧野です。」
進は片手に万年筆を握りしめ、プレゼンを始めた。
ネットのマイページに子供の顔を登録し、ネットで着せ替え出来る機能。
サイズ登録をすると、ズボンの丈の長さなど、どの位置に来るのかわかり、子供のスカートの丈の長さもわかるように待っていた。
ゲーム感覚で頭から足元までコーディネートしておしゃれが楽しめる機能になっている。
アイテムをクリックすると、脇にそれにあった他のアイテムが予想コーディネーターされる。
購入ボタンを押すと、以前購入した履歴が出され、購入したアイテムと組み合わせれるアイテムが表示されていた。
リサイクルの機能では音声認識ソフトをフル活用して、カメラで衣類を撮影後、単語の分類機能を充実させ、タッチパネルで操作できるパソコンを起用し入力する作業を短縮させていた。
リサイクル特有のシミの有無については、文章説明ではなく、ペンタイプの小型カメラで撮影して登載、ネット画面で拡大して、確認できるようにしていた。
情報は、シールにプリントアウトされ、撮影した洋服に貼り付け、管理するようになっていた。
実際100着行った実験の結果が細かく資料に記載されてあった。
司が、マイクを持って質問した。
「ゲーム感覚にしたのはなぜだ?」
「はい。今の時代、パソコンだけじゃなく携帯から購入する人の割合が高いです。
携帯は小学生から高齢者までたくさんの人が持っています。
ゲーム感覚にして、いろんな場所でこのサイトを開くことにより、実際に購入したアイテムは友達と交換出来たりして、実際に販売されている衣類の宣伝効果を狙いました。
また、子供はセンスや色彩感覚が学べます。
今は親が子供の服を選ぶのではなく、子供が服を選んで親に買ってもらうのが当たり前です。
カードゲームでも今の子供は着せ替えを楽しみます。
ゲーム感覚で洋服を選び、親は子供の選んだ服を、コーディネートで確認して、購入履歴と照らし合わせていきます。
子供は成長が早いので、着れる時期が限られます。
親は、着回しが出来るものを選ぶはずです。よって、着回し機能を追加しました。」
「わかった。」
次につくしが質問した。
「リサイクルのソフトですが、時間作業短縮がメインです。
人件費を抑え、その分寄付に回したいと考えています。
分類機能ですが、以前撮影した衣類は認識識別システムを搭載し、履歴がパソコンで出るように追加は可能ですか?」
「はい、コスト面で少しかかりますが、追加でプログラミングすれば可能です。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「3企業の皆様ありがとうございました。
当社で、会議を行った後正式にご依頼のご連絡を差し上げます。
本日はお疲れ様でした。」
司会者が、マイクを置いた。
司、つくしは席を立ち、他のものは頭を下げていた。
進は、つくしにお守りを返せなかった。
***
2日後、課長がデスクの前にたち号令をかけた。
「おーい。みんな聞いてくれ。牧野君の開発したソフトが正式に道明寺ホールディングスと契約が決まった。」
一斉に拍手と「おめでとう」の歓声。
「ありがとうございます。」
進は立ち上がり、深々と頭を下げた。
「しかし、改善と依頼が大分ある、プロジェクトチームを発足する。
担当分野で振り分けた。改善点を補強してくれ。
機能の追加は、横井、牧野が担当。実験結果も報告する。
よって、みんな家から20着衣類を持ってきてくれ。期限は1週間。実験は5日後に行う。
改善が出来ていたら契約だ。10年間業務提携が決まる。みんな気合入れて頼む。」
「「「「「はい」」」」」
みんなは一斉に、作業に取り掛かった。
残業し、徹夜続きではあったが、今年度の大型契約で10年の業務提携は会社にとって利益になるものだ。
企画課一同、一致団結して頑張った。
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