進は大学卒業後、大手広告代理店に就職した。
会社名は「HSPカンパニー」
就活当初は、司やF3から進の成績ならうちを受ければ受かるから。と言われていたが、進は彼女である春菜が就活をして、自分の力で就職しているのに自分はコネで入るようなマネはしたくないと思っていた。
それに、自分の大学4年間遊んできたわけではない。
真面目に勉強して、今の自分があるのだ。
進は自分の力を試してみようと、大手出版会社や、広告代理店など20社を受け、今の会社に合格したのだ。
つくしや司にも相談して、今の会社はクリーンな会社らしく、業績も急激な変動をしているわけでもないが、上々な会社だということは知っていた。
これから自分の人生、一生懸命やって、将来は春菜と結婚を考えていた。
4月に入社して、研修を終え配属先が決まった。
企画課ネット営業部だ。
仕事は主に、インターネットの広告や、ネットショッピングでのアプリケーションソフトの開発などだ。
進は小さい頃から、貧乏の家に生まれたため、パソコンがない生活だった。
つくしが大学に行き自分でパソコンを買った。
つくしが大学二年の時に買い替えたため、お下がりをもらったのだ。
高校の授業以外でパソコンを触ることはなかったが、今まで家に自分専用がなかったので、パソコンの機能をいろいろと分析し活用していた。
大学3年になり、バイト代が溜まり、最新のパソコンを購入してからは、より一層機能や性能を自己流で学んだのだ。
元々雑草パワーの姉を持つ弟の為、しっかりしていた。
パソコンで家計簿を作り、両親の浪費等を管理していたのも事実だ。
姉が大学3年の春に家を出てからは母や父を叱るのは自分の役目になったので以前にもまして、家計を管理していた。
そんなことから、大学で経済学を学び、自己流でパソコンの性能やソフト開発の勉強をしていたため、今回の就職・配属先は進にとって嬉しいことであった。
企画課の笹山課長が席から立ち上がり、みんなが注目した。
「今、配布した資料、みんなに届いたか?」
「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」
「よし。今度は企画課だけではなく、全社をあげて社内コンペが開催される。
コンペ内容はネットショップのソフトの開発だ。依頼は道明寺ホールディングス。
我が社の他に、2社に依頼しているらしい。
3社競争して一番良いソフトで新しいビジネスをスタートするようだ。
販売内容は、子供服。
自身のブランドを立ち上げ、販売。
また、チャリティー団体の理事として活躍してる、奥様の要望で要らなくなった服のリサイクルをして、ネットで販売。
リサイクル服の売上は全額が児童施設等に寄付される形だ。
こちらのビジネスは店舗販売と連動している。
回収は店舗の<絆ポスト>という回収ボックスと宅配でお客様が固定の場所に直接発送するシステムだ。
集めた衣類を店舗、ネットで販売。
衣類の管理ソフトの制作だ。きっと、膨大な量の服になると思う。
その中で、写真で撮影しサイズ、汚れ具合など一点一点処理するのは大変だ。
その作業をいかに迅速に対応できるかという、ソフトの開発になる。
期限は10日。
10日後の12時に社内のコンペホームページ上で閲覧して、2日後全社員1表投票する。
ベスト5を1日かけて全社で再度投票、2つの企画を持って、道明寺ホールディングスにプレゼンに行く。
コンペの注意事項はメールで配布する。わかると思うが、君たちはプロだ。
全社でのコンペでも君たちが負けるわけがないと思っている。
新人、期待している。自分を信じてやってみろ。
ベテランも新人も関係ない。下剋上が当たり前の世界だ。
頑張れ。じゃあ、業務に戻ってくれ。」
「「「「「「「「はいっ」」」」」」」」」
進は資料を握りしめ、気合を入れた。
姉ちゃんたちの会社の依頼か。
全社をあげての社内コンペって依頼したのはきっとお兄さんだ。
就職が決まって就職祝いをしてもらった時に、会社名は教えていた。
だけど、2か月の研修が終わって配属先が決まるため、配属先はまだ姉ちゃんたちには教えていない。
俺のことを考えてくれたんだな。
実力で来いってことか。まずは社内コンペで戦わないと。
勝って挑戦状叩きつけてやる。
「よしっ」
進は気合を入れて、パソコンに向き合った。
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