奥様の秘書がわざわざ私に用事があると尋ねて来た。
「初めまして、秘書の三納と申します。」
「使用人頭を勤めるタマです。こんな年寄りに何の用でしょうか?」
「本日はお願いがあってまいりました。牧野様のご実家に一緒に伺って欲しいのです。
牧野様は明後日から一人暮らしをします。親元を離れるので、お母様のお味をマンションの専属シェフが少しでも再現できれば、牧野様の活力になるのではと思いまして。」
「それは、奥様の判断ですかい?」
「はい、牧野様には知られないようにと言われております。
本日は牧野様は高崎様の最後の仕事のようで朝から晩までおりません。タマさんは面識があると第一秘書の西田から聞いております。どうかご一緒に牧野様のご自宅に行ってはいただけないでしょうか?
過去に色々とありましたので、警戒をされないためにもお力をお貸しください。」
「面識があるって言っても、数回会っただけだよ?面白い親だよ。
まぁこんな年寄りでもお役にたてるなら一緒に行こうか。ちょっと坂上を呼ぶから30分は時間をいただくよ。」
「はい。宜しくお願いいたします。」
綺麗にお辞儀をする秘書にタマは笑った。
あの子もこんな感じになるのかねぇ。
まあ、もともとしっかりとした子だ。
どんな風に変わっても、根っこの部分は変わることはないだろう。
タマは鼻で笑いながら出かける準備をした。
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