RRRRRR・・・
RRRRRR・・・
邸に響く、電話の音。
タマが重い腰をあげ、電話に出ると楓からだった。
----「私です。変わりはないかしら。」----
「ご無沙汰しております。はい、ご報告の通りです。」
----「来週、牧野さんを私の所有のするマンションに引っ越しさせます。準備をして頂戴。」----
「かしこまりました。」
----「邸は、連絡したとおりにして頂戴。」----
「よろしんですか?」
----「えぇ、あなたには悪いけど、寝るだけのようなものよ。朝食がとれればいいわ。」----
「かしこまりました。」
----「・・・あなたもあの子をサポートして頂戴。」----
「もちろんです。」
奥様が指示したのは邸に使用人を私以外に二人とシェフ、コック一人の常駐だけだった。
広い屋敷、主の居ない邸は少しづつ光を取り戻しそうだ。
あと1年もしたら、司坊ちゃんは必ずあの子の元へ帰って来るだろう。
マンション暮らしになるあの子は、結婚が決まるまで邸に住むことはないだろう。
あと数年もすれば、この邸も光を完全に取り戻す。
タマは使用人候補を誰にしようか考えながら、長い廊下をゆっくりと歩き出した。
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