入院患者が昼食を食べ終えた頃自分の部屋で一人、絵本を読む翔。
小さいころから肺の弱かった翔は、ずっと家の中で遊ぶことが多かった。
遊び相手は兄妹か、使用人。
両親は海外に行くことが多く、邸では祖母が居た。
祖母は兄弟を見ながら仕事を今でもしていた。
邸に居ることが多く外に出ることもなく、幼稚舎も休むことが多く、友達は出来なかった。
そして、入退院を幼い頃から繰り返していた為、一人で過ごすことに慣れていたのだ。
コンコンコン
「失礼します。翔君、体調どうかな?」
担当医の松本が入って来た。
「大丈夫だよ。」
「良かった。今日は翔君iお客さんだよ。」
「誰?」
「待っててね。
松本は扉まで戻ると、廊下に控えていた人物にどうぞと声をかける。
現れたのは西田だった。
「初めまして。道明寺ホールディングスの副社長の第一秘書をしています、西田と申します。」
「こんにちわ。」
「今日は、副社長のご命令であなたの夢を叶えに来ました。」
「ほんと?」
「はい、こちらの院長にも許可を得ております。身支度を整えて一緒に来ていただけますか?」
翔は、松本の顔を見た。
「病院から、道明寺さんのお願いで許可がでたんだよ。ただ、無理はダメだよ。時間は2時間だ。
僕も一緒に行くからね。」
「うん。やったー。」
翔は5歳の子供だ。
ここに入院してからやっと子供らしく笑い喜んだ。
身支度を整える翔は待っていた西田に尋ねた。
「おじさんは?」
「奥様と一緒に、いますよ。後から顔を出すそうです。」
「ちゃんとお礼を言わなくちゃ。」
「喜ぶと思います。」
「おじさんは魔法使いだね。」
クスッ
西田は、鉄仮面の表情を崩した。
***
数時間前・・・・・・
「西田、休みなのにわりぃな。」
「いえ、どうかされましたか?」
「頼みたいことがある。」
「何でしょう。」
「ガキでも作れるワイングラスってあるか?」
「・・・何歳でしょうか?」
「5~6歳だと思う。」
「だとしたら、調べればあると思います。」
「それ、病院の敷地に呼べるか?」
「敷地にですか?」
「あぁ。」
「ガラス細工は、釜が必要です。難しいかと思いますが?」
「調べるだけ調べてくれ。金はいくらでも出すって言えば、何とかなるだろ?」
「つくし様が嫌いますよ?」
「今回はつくしは関係ねぇ、男同士の話だ。」
「・・・賜りました。急ぎですか?」
「あぁ。出来れば昼前でに何とかしてほしい。」
「昼ですか?わかりました。・・・・恐れながら、私の子供にも体験させてもよろしいですか?」
「あぁ。休み中にわりぃな。」
「ありがとうございます。
私も子供と約束が何とか守れそうです。」
「おう、頼むわ。」
電話を切る、司。
らしくないことを考え、どっと疲れが出た気分だった。
検査を終えただろうか?
司はつくしの待つ、病室に戻った。
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