元旦の今日、ゆっくりと過ごす今年の正月。
私は現在妊娠中。
旅行に行くこともなく、家族でゆっくりと過ごしていた。
司もしっかり休みをもらっていて、家族だんらんの時が流れていた。
子供部屋で司が子供たちと遊んでいた。
私は同級生からの年賀状を私の部屋でこたつで見ていると環が部屋に入って来た。
お喋りが上手な環。
会話が楽しい時期。
「ママ、今年の干支って知ってる?」
「羊でしょ?」
「正解。環、ひつじさん触りたいな。」
お願い目線の環。
この仕草が桜子とかぶる私。
司も翼もこの視線でメロメロ。
女の子って怖いと思う瞬間。
私にはこんな技はない。
でも、今回のお願いは司は無理だろうな。
「パパが良いって言えばいいんだけど、今回は厳しいかな?」
「パパに聞いてくるね。」
にっこりと笑って子供部屋に走って行く環。
説得は任せた。
頑張れ環!!
可愛い背中に応援する。
数分後、戻って来る環はご機嫌。
「ママ、パパが邸にひつじさん呼んでくれるって。」
動物嫌いの司が簡単にOKしたのが信じられない。
一体どんな手を使ったのか・・・・。
「パパになんて言ったの?」
「ひつじさんを触りたいって言ったよ。」
「それだけでいいって?」
「駄目って言われた。だから、類君にお願いしてみようっって言ったら、パパがそれはダメだって言ってた。」
「それで?」
「パパが邸にひつじを呼ぶから類には頼るなって。ひつじ触れれば、環はパパでも類君でもいいから。」
にっこりと笑う環。
「・・・そう。」
司も可愛そうに。
ちょっと同情してしまう。
数時間後、本当に1匹のひつじが来た。
執事の坂上さんに連れてこられた、ひつじ。
執事と羊。
ぷっ
笑っていると顔面が青く変化してきた、司の顔が横にある。
思わず口元を隠した。
嬉しそうにひつじを撫でる環。
少し怖がりながら、撫でる翼。
健は、ずっとひつじの顔を見て絵をかきはじめた。
三者三様。
妊婦の私の代わりに司が、匡を抱っこしていた。
最近、赤ちゃん返りなのか、抱っこを要求する匡。
もうすぐ匡もお兄ちゃんだ。
「パパ、匡もひつじ触りたいって。」
環が司に言う。
言葉を覚えたての匡。
話す言葉は、そんなにない。
「言ってなかったぞ。」
真顔で答える司。
環は匡を覗きこむ。
「匡、触りたいよね?」
「うん」
返事をして、頷く匡。
その姿が可愛い。
だけど、そうと思わない奴が一人。
「私が抱っこして触らせるよ。」
私が手を伸ばして匡を抱っこしようとしたら、匡は司にしゃがみ着いた。
「パッパ、パッパ」
涎を垂らしそうな勢いでにっこりと笑う匡。
本来嬉しいはずの仕草。
だが、今日は違うだろう。
数分で、痩せた?
って思うほど、げっそりとした司。
「わかったよ。」
嫌そうにしながら、匡をひつじの元へ連れていく。
「くせぇな。」
嫌そうな顔がまた笑える。
動物よりデカい体。
司の方がはるかに強いのに怯えながら、近寄る姿が何だか可愛い。
「ふわふわ、もこもこでしょ?」
環が、匡に聞くと、頷く匡。
「パパも触ってみて。」
キラキラ輝く、目で司を見る環。
どうする司?
様子を見ていると、ゆっくりと司がひつじに手を伸ばした。
一瞬触り、手を引っ込める。
「ふわふわだった?」
「あぁ」
「ママも触って。」
「うん。」
ひつじは本当にふわふわもこもこで気持ち良かった。
「パパ、ありがとう。」
環が司にお礼を言うと司も頷いた。
夕飯を食べ終え、家族団らんの時間。
環が、私の所に来て耳元で囁いた。
「ママ、ひつじさんよりパパたちの頭の方がふわふわもこもこで気持ちよかったね。」
「えっ」
「環ね、どっちが触り心地がいいか気になったの。だから、ひつじに触りたかったんだけど、やっぱりパパたちの髪の毛の方がふわふわもこもこだった。」
にっこり微笑む環。
私の視線の先に、司と翼、匡がじゃれ合いながら遊んでいた。
同じ頭の3人。
ふわふわもこもこの髪の毛。
確かに、子供たちの髪の毛は邸の人も触るけど、司のあの髪の毛は家族とスタイリストしか触らない。
ひつじよりも触り心地が良いって、私たちしか知らないことだね。
クスクスと笑っていたら、不思議そうにこっちを見る三人。
さらさらヘアーの健は私たちを見て微笑んだ。
「僕もそう思ったよ。」
聞えていたのだろう。
お腹の子供はどっちの髪型に似るだろうか。
ひつじ年だからふわふわもこもこ?
そんなことを考えた今年のお正月。
良い年でありますように。
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